歴史と哲学

西洋占星術とは…地上の出来事や人々の生まれた瞬間を天体と結び付け、ホロスコープ(星の位置を写し出した天体の配置図)を描き出し占う手法である。

西洋占星術に関する最初の記録は、メソポタミア文明の楔形文字までさかのぼることができる。現代の占星術のもとになったプロト占星術も元前2000年頃には既に星を使い神々の意志を知るために用いられていた。月食や日食を災害の予兆のように捉えたり、月の満ち欠けを木に刻み記録したカレンダーのもととなるような物も残されている。そこから一定の周期で月の満ち欠けが行われていることに気付き太陰暦も発見された。
その後、バビロニア占星術として主に国家や王家の吉凶を見るツールとして使われ発展していき、現代の占星術の原型が出来上がった。そして、紀元前3世紀頃にギリシャに伝わり、今のように個人的な事を見ていくホロスコープ占星術へと進化していった。

ギリシャの思想家や天文学者たちの多くも占星術に精通しており、その発展に大きく貢献している。自然哲学者のエンペドクレスは万物の根源アルケーは「火・空気・水・地」の四元素説を唱えた。その考えをプラトンが伝承していき、弟子の古代最大の哲学者アリストテレスに伝えられ、四元素の相互転換という形で受け継がれた。
また、アリストテレスは月と大地の間にある月下界は四元素からなり不完全な状態のために変化・腐敗するが、月より先の天上界では第五元素(エーテル)で満たされていて不変であるとした。

二世紀前半に活躍した天文学者クラウディオ・プトレマイオスは主著「アルマゲスト」で地球は宇宙の中心で静止していて、その周りを各惑星(地球から近い順に月、水星、金星、太陽、火星、木星、土星があり、その外側に恒星天と原動天がある)の軌道が取り巻いていて回っているという「天動説」を完成させた。またプトレマイオスは消失してしまいそうであったギリシャ天文学の知識を集大成させ、今世の占星術の多大なる貢献人であるため「西洋占星術の父」とも呼ばれている。彼の最大の業績は「テトラビブロス」を書いたことでもある。テトラビブロスは4つの書を意味し、題名通り4部に分かれ構成されている。第1部は、惑星、恒星、星座の関係について書かれており、第2部は国家や地域における惑星が及ぼす影響について、第3部と第4部では個人の運命を占うための占星術が書かれており、とくにホロスコープやサイン、ハウスの象意の原型が述べられている。現代の占星術の基礎理論がここで完成された。

その後、ローマ帝国末期には占星術は宗教上の思想による弾圧を受け、表向きは姿を潜めることとなる。そんな中、天文学者のヨハネス・ケプラーは「天文学は賢い母だ。占星術は愚かな娘だ。けれど母親にとって生活費を稼いでくれる娘は必要。」と占星術を否定するような発言をしながらも、好んで占星術を研究し、自身の宇宙論の中に教信仰を取り入れた。ケプラーは惑星の運行に関する法則「ケプラーの法則」で知られているが、占星術で注目をされたのは1595年に発表された「占星暦」からである。この中でケプラーはホロスコープを作成し未来予測を使い、大寒波の襲来とトルコ軍の侵入を的中させ評判となった。25歳の時には「宇宙の神秘」を書き、宇宙の中心は地球ではなく太陽であると唱えたニコラウス・コペルニクスの地動説に賛同した。ケプラーの功績は大きく、のちのガリレオの木星の衛星発見やニュートンの万有引力の発見への手がかりとなった。

イタリアの天文学者ガリレオ・ガリレイは望遠鏡が発明されると、それを拡大できるよう改良し天体の観察を行った。こうして発見した知識を1610年に「星界の報告」にまとめ発表した。月の観察をまとめたものや詳細を描いたイラストを記載したり、金星の満ち欠けや木星とその周囲を回転する4つの惑星(ガリレオ衛星)を発見したことについても書かれている。その後、ガリレオはプトレマイオスの天動説とコペルニクスの地動説との違いを、一般を対象に分かりやすく書いた「天文対話」を出版した。ガリレオはこれらの功績から「天文学の父」と呼ばれている。

1602年に生まれたイギリスの占星術師ウイリアム・リリーは、それまでは貴族や王族を対象とした占星術を商業として一般大衆へと広めていった。この頃から現代のように一般に対しても予言する(占う)占星術が確立された。

ホロスコープとは…ある瞬間の星の位置を写し取った天体の配置図の事でギリシャ語でhoro(時)scope(見張り)からきている。個人の生まれた日、場所、時間からホロスコープを描き出し読み取っていく。そこには個人の性質や特徴、生まれながらの運命や、これから起きるであろう未来のことまで描かれている。同じ日に同じ場所で生まれていた場合、時間がかなり重要になってくる。生年月日や出生地が同じでも時間まで合致する人は、なかなか居ない。4分違えばホロスコープが変わってくる。要は運命にも違いが出てくるということである。

もし時間が分からない場合はソーラーチャートという手法で見ていくことも出来る。もしくは正確な時間が知りたいのであれば、レクティファイという手法で出生時間を割り出すこともできる。ただ、その際はかなりの時間と、過去の出来事や人生のターニングポイントなど莫大な情報の提供が必要になってくる。

生年月日・時間・出生地から描き出したホロスコープから10天体(太陽・月・水星・金星・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星、場合によっては軸、感受点や占星点、小惑星も入る)がそれぞれどこのサイン(牡羊座・牡牛座・双子座・蟹座・獅子座・乙女座・天秤座・蠍座・射手座・山羊座・水瓶座・魚座)にあり、どこのハウス(第1室から第12室まで分かれた部屋のような場所)に入っているのか、そしてその天体同士がどんなアスペクト(角度)で結ばれているのかを複合的に見て読み取っていく。

占いを大まかに分けると命術・卜術・相術の3つに分けることができる。西洋占星術は命術という分類に入る。命術とは生年月日から生まれ持った特徴や才能、運命や宿命を見ていくもので、西洋占星術では、先ほど説明したホロスコープを使って占っていく。占える内容として個人的な内容。例えば自分の性格や無意識に出てしまう癖、陥りがちな恋愛傾向や適職、人生の方向性など、その人が生まれながらに授かった物を読み解き、更にどう活かしていけば良いのかを見ることができる。

次に未来予測について。いつの時期に転換期を迎えるのか。結婚や転職、起業のタイミングなどを現在の星の運行状況から読み取っていく。そこから今はどのような事柄を重要視したら良いのか。目指すべきターニングポイントはいつ頃なのかも知ることができる。ただここで注意しなければならないのは、そのチャンスを自分がどのように活かすのかということ。運気の流れというものは必ずある。少しの努力で大きく飛躍できる、人生でそう多くはないであろう大切な時期だ。ここで何も動かず始めずに、ただ待っていても何も起きることはない。待っていて起きる事といえば、病気や厄介ごとなど到底来て欲しくないマイナスな物事ばかりだろう。運気の流れに乗るためにはまずは動くということ。「チャンスを掴もう」という気持ちでいれば好機を逃すことは少ない。その事さえ念頭に置いておけば西洋占星術の未来予測を上手く利用することができるだろう。

そして西洋占星術では持って生まれた相性も見ることもできる。ここでも注意していただきたいのは今の彼の気持ちではない。(現状をホラリー占星術を使って見ることもできるが、卜術となる為、ここでは省く)生まれ持ってどんな相性を持っているのか。違いはどこなのか。彼の好みの女性や理想の結婚相手、愛し方、体の相性も分かってくる。またドラゴンヘッド、リリスなどの小惑星を使って宿命的な相性も見ることができる。

このように西洋占星術は古い歴史の中から生み出された物ではあるが、人類の想像を遥かに超える可能性を多大に秘めている占術でもある。ただホロスコープを見聞きして終わるのではなく、自身の持って生まれた性質をどれだけ理解し活用させていくのか、現行の星の流れを使い、いかに上手く発展させていくのかが非常に大事な占術となっている。ただ占うというような個人的な運命の運の善し悪しだけではなく、生きていく為の戦術として使っていって欲しい。